相談員が受けた相談

体操に行きたいのに職員が声をかけてくれない

グループホーム / 利用期間 2年8か月 / 認知症あり / 87歳女性

【相談内容】

 私は元気なのに、他の人は別の場所にあるグループホームと合同で行っている体操へ行ったけど、私には声をかけてくれなかった。と顔を赤くして訴えられた。

【相談員の対応】

 訪問時に1階玄関で利用者2名が車に乗り込んでいるところを見かけたため、「行きたかったのにどうして声をかけてくれなかったのか聞いてみようか?」と声掛けをし、職員へ尋ねる。

【施設の対応】

 今日は車が1台しか出せなかったから、車に乗れなかった。という回答。
 事業者の勝手な都合が利用者を傷つけていた。

【相談員の感想】

 日常生活のささいなことで(職員にそんなつもりは無くても)のけ者にされた、という気持ちは敏感に感じている。事前に行けない理由を話し、納得してもらうため、ひと言声掛けする、という思いやりが必要であると思う。自分から言えない人も多いため、代弁していく事が必要である。


解説・ポイント

 介護相談員の活動によって施設サービスの改善に結びつくためには何が必要であろうか。介護相談員の報告や提案に対して、施設が自分たちのサービスのあり方などをふり返り、利用者の生活などを向上するためにはどうしたらよいかという視点で表面に現れている問題を見ることが大切である。

 この事例では、相談者が「自分には声をかけてくれなかった」と訴えて、介護相談員が施設職員に尋ねた回答などに問題意識を持っていることがわかるが、改善を促すためにはどうすればよいだろうか。例えば、事前に行けない理由を説明すればよいのだろうか。その場合、行けない利用者は納得できるだろうか。

 まず、利用者は他の入居者が体操に行くことをどのように知ったのだろうか。彼らから聞いたのか、彼らの行動や職員の行動、発言から知ったのだろうか。相談者本人はこのような機会の時、いつもはどうしていたのか、参加していたのか、参加していなかったのかということでも事情は異なってくる。

 施設職員のそのときの思いつきで参加者を決めているのか、ケアプランに具体的に示されている活動なのかということも重要である。

 職員が利用者に説明していないということに着目することは大切であるが、なぜしていなかったのか、利用者はどのようにして知ったのか、ということに注目することが「気づき」につながることである。職員が漫然と介護サービスに向き合うのではなく、一つひとつの意義を認識して行動するようにしていれば、このような問題はおきない可能性がある。 

 多くの施設では週間予定表や月間予定表を利用者にわかるように掲示などをして、対象となる人なども利用者も一目でわかるようにしている。これは、利用者の生活への意欲を維持できるように配慮しているだけでなく、参加したがらない利用者への働きかけにもなっている。

 外出活動などは健康や食事、日頃の日中活動にも影響していくことでもあり、職員同士だけでなく、利用者も含めての情報の共有や理解はとくに大切である。

 利用者一人ひとりに対する生活支援の視点を持った介護サービスのあり方は、一人ひとりの状況を職員が的確に把握して進められていくが、これは、担当職員だけですすめているのではない。ケアマネジメント担当者などに情報がどのように集約されているのか、ケアマネジメント担当者から直接の介護担当職員にどのようにフィードバックされているのか、あるいは関係している他の専門職とどのように連携しているのかなど、多くのポイントがある。施設がそれらに目を向けられるようにしていくことも介護相談員の活動として重要である。

 別の視点から考えると、利用者はたんに体操に行きたかっただけなのだろうかということもある。理由はともかく外出したかった、他の入居者と同じ行動を取りたかった、自分が知らないということが嫌だったとか、いろいろ考えられるが、多方面からの視点で職員が支援を検討することの必要性を気づかせることも大切である。

 介護相談員の活動上でも大切な視点の一つであることを認識して欲しい。

更新:2016.5.1