相談員が受けた相談

席を替えてほしい

デイサービス / 97歳 / 女性 / 認知症なし / 要介護2

【相談内容】

 通所者29人(女性21人、男性8人)が5つのテーブルに座り、楽しそうに談笑している中で、1つのテーブルだけ2人で他のグループの雰囲気と全く違い「シーン」としていた。
97歳の相談利用者が泣きながら「私は103歳のおばあちゃんの隣にいつも座らされ子守りをしているようで毎日がつまらない。年齢が上から二番目のため、他の若い人のグループには入れない。お風呂もゲームをする時も何の会話もしない人と一緒が辛くてさびしい。席を替えて欲しい」という相談があった。

【相談員の対応】

 話を傾聴し辛いことの内容を一つひとつ聞き、どうしてほしいのか心の内を聞いた。「103歳のおばあちゃんは嫌いではないが、職員の都合で席を決め、変更しないので3カ月以上もそのままで私は他の人のグループに移りたい。職員には悪くて遠慮し、口には出せないで我慢してきた」とおっしゃる。
そのことを職員に話し、席を変える事と相談者の様子をよく見て、心に寄り添ってほしい旨を伝えた。

【施設の対応】

 デイサービスの職員は、明るく前向きで、相談員の話をしっかりと受け止めてくれた。「年齢が近いし、2人共無口だと思って席を決めていたが、利用者がそんなに悩んでいることに気がつかなかった。利用者にどうしてほしいかよく聞いてすぐ対応する」という返事であった。
103歳のおばあちゃんは認知症もあり一人でも大丈夫だが、賑やかなグループへの移動で環境を変えてみたいと言うことであった。

【改善状況】

 次に訪問した時は、利用者がとても明るく皆と楽しそうにしていた。すぐにグループを変えてもらい、今はとても楽しい。とのこと。103歳のおばあちゃんもうつむき加減が減り笑ったりしていた。デイサービスの対応が適切で早かった。

【相談員の感想】

 通所している人たちは、お世話になっているという思いがあるので、辛いことであっても我慢し、職員に言うことはほとんどない。それだけ職員は一人ひとりの様子に目配り気配りがなければならない。聞く耳を持った前向きの職員だから解決できた。


解説・ポイント

 

 何のためのデイサービスかということを施設はあらためて考える必要がある事例である。職員がデイサービスにおいて何を提供するのかを考えていないことが重要である。一人ひとりの利用者に対して個別サービス計画を適切に立案せず、サービス内容についても利用者と確認をしていないということは、介護支援専門員が作成した居宅介護サービス計画(ケアプラン)も形式的なものに過ぎない、あるいは、考慮されていないということになる。「聞く耳を持った前向きな職員」と介護相談員は評価しているが、このデイサービスの態勢や介護に関する姿勢、業務方針など、大きな問題が浮かび上がっている。

 デイサービスなどの場合、「預かっている」という姿勢が見られることがあり、アクティビティサービスも利用者一人ひとりの自立支援を図るため具体的目標を持って提供しているというよりも、職員が思う「楽しく時間を過ごす」とか時間消化しているような内容を見受けることもある。介護支援専門員も自分が作成したケアプランがどのように実施展開されているのかを確認することなく、漫然と行われていることもある。

 食事やアクティビティの席という形をとって表れているが、ケアプランに基づき、利用者の意向を尊重したサービス提供という基本を理解しているかということにも注目したい。

 また、介護支援専門員は毎月モニタリングすることになっているが、デイサービスの現状を利用者は介護支援専門員に伝えることをしていないのだろうか。デイサービスのあり方だけでなく、介護支援専門員の業務が適切に行われているかという問題にも発展してくる。

 事務局を通して、ケアマネジメントを含む地域全体の介護サービスへの認識の強化が求められる事例になるかもしれないことも留意して欲しい。

更新:2016.12.1