おやつの時間、おやつを利用者に渡す際、テーブルの上を滑らせ、対角線上におられる利用者に配っていた。
利用者はそれをうまく受け止め食べられていた。
上記の状況はいかがなものかと思い、事業所に報告書で伝える。
事業所での話し合いの結果、お盆におやつを入れ、利用者の側まで行き、渡すように改善された、とのこと。
事業所が、今後も上記の行為がないか観察していきたい。
事業者は真摯に受け止め、すぐに対応されたことは、相談員として嬉しく思った。
職員の対人援助職としての基本に関わることであるが、いくつか想定されることがある。当初は職員と利用者の軽い対話から生まれた機能改善を多少意識した行動であったかも知れないし、短時間で配膳などを済ませようということから始まった行動かも知れないが、職員全体がどのように理解して行動していたかは時が経つにつれて変化することもあるだろう。
お盆での配膳は、いわゆる常識、良識と認識されているが、今度は、お盆からテーブルに置くときの職員の行動、配慮などが問われることになるかも知れない。大切なことは、職員がどのような認識で行動しているのか、それを利用者がどのように受けとめているか、理解しているかということから考えることである。両者が了解していれば良いということではないが、行動が及ぼす影響を考えることが第一歩である。
介護保険が始まる以前に、おやつの時間に入居利用者がずらっと一列に壁際に置かれた椅子に座り、プラスチック製の柄付きコップを手に持ち、職員がそこに大きなやかんからお茶を順番に注いで、その後でお菓子をそれぞれの手に配っている場面を見て、驚いて施設長に尋ねたことがあった。
そのような光景は現在では見かけることはないが、本質的には変わらない場面はときどき見かけることがある。制度上の最低基準が満たされればよいというような発想ではなく、「どのようにすることが利用者にとってよいのか」という行動基準を常に意識して欲しい。
この事例の場合、老人保健施設であるが、家庭生活での具体的行動を想定した介護や支援が行われているか、職員はそのことをどのように考えているかということに注目すると、さらによりよいサービスになるだろう。