兄と妹がいるが独居の母に近いところにいる自分が全面的に母の介護を託されている。自分の家庭環境を考えて、この施設に入居させ、殆ど毎日来ている。母のかかりつけ医より薬を取りに行くたびに母を在宅介護しないことを非難され、自分も自宅で介護できないという後ろめたさもあり、心苦しくストレスになっている。母の介護度が進むことで経費がかさむことも不安である。
医療介護保険のサービスを受けるのは本人・家族本位の選択が優先されるため、関わられているケアマネ等とも相談され、セカンドオピニオン等も考えられ、医師や介護施設との信頼関係を再考され、抱え込まない介護を継続されるよう提案した。
施設内生活相談と度々面談され、施設への信頼は持たれてきている。
今後もきめ細かく相談に応じ支援していきたい。この度介護相談員に話されたことで気持ちが軽くなられたと受け取っている。
経費は今のところ心配ないが特養への申込も出されている。
ご家族に対して、事前に施設が介護相談員との面談を勧められており、介護相談員が入居に至った経過や現状を傾聴したことで、気持ちを軽くされた様子を感じた。
高齢化が進む中、家族からの相談業務の必要性を痛感した。
介護相談員の活動について施設を通じて家族へ周知していくことが今後の課題であると感じた。
施設入所は本人の生活だけでなく、家族にとっても大きな影響を及ぼす。入居利用者のリロケーションダメージ(急激な環境の変化に適応できないことより生じる心理的な不安や混乱など)についてはよく言われるが、家族にとっても施設入所というできごとは葛藤や自責の念、利用者と自分の将来への不安などを引き起こす。もっと自分ができることがあるのではないか、入居者が自分自身であったら、他の家族・親戚、近隣の人、入居者の知人などから「冷たい人」を思われるのではないかなど、それぞれの事情があっても周囲の人では分からないことが多くある。親子だからこそ、周囲の人には分からない長年の思いもある。専門職であれば第三者的に批評するのではなく、それらを受けとめた対応をとることが求められる。
この事例では、かかりつけ医の対応のことが触れているが、かかりつけ医は何らかの意図があって、あるいは、施設入所の背景があってのことかも知れないので、直ちに決めつけることはできないが、施設職員が家族の気持ちを聴き取るように努めることも必要である。介護相談員の立場と施設の立場は異なることを理解して欲しい。施設は入居した利用者だけでなく、家族がどのような思いでいるかということに留意してサービス提供にあたることが重要である。家族は入居利用者に大きな影響を及ぼす存在であり、家族の不安などは施設における本人の生活にも関係する。
ケアハウスであるため、やがて特別養護老人ホームなどへの移動も考えられているようだが、入居利用者と家族が「その時点での最善の選択」と思えるようになるためには、施設が入居利用者本人だけでなく、家族との関係も築くことが必要である。