左側にマヒがあり、手は自由に動かせない。
ベッドが窓側にあるが、窓と壁側が左側になり、隙間があるため、左手が夜間ベッドの隙間に入ってしまい、手が出せなかった。
ブザーを押すにも身体の自由が奪われていた。
ベッドと壁の間の隙間を無くして欲しい。
部屋とベッドを確認し、事業者へ報告。
壁に密着させてしまうと拘束になるため、隙間を作っているが対応を考えます。
本人、家族の同意を得て、壁側にタオルやクッション等で左手が保護できるように工夫し、ベッドを壁に密着させる。
ベッドの手すりや壁も拘束の条件になってしまうが、部屋の状況によっては、柔軟な対応を考えていく発想が求められると感じた。
ベッドを壁に密着させることは身体拘束になるからと、単に隙間を空けておけばよいという発想は適切とはいえない。利用者の身体状況によっては却って新たな問題を生じることにもなる。壁側にクッションなどを置くことは工夫の一つではあるが、やはり、根本的な問題について考えたい。
そもそも、ベッドの配置は、部屋の広さや間取りなどによって決められることが多いが、重要なことは利用者本人の身体状況に基づく行動を基礎に考える必要がある。寝返りをうつなど自分から体位変換するときの方向、本人が自分で起き上がるときや横になるときの身体の支え方、ベッドから降りるときの身体の動きなど、ベッドの左側から行動する方がしやすいのか、右側から行動する方がしやすいのかを考え、起居動作を始め生活の全体が自立生活支援につながるように配慮することが必要である。
介護者が介護しやすいようにベッドの向きを決めたり、利用者の状況を何も考えずに配置したりしがちであるが、それでは、利用者がますます介護されなければならない状況を生みだすことになるかもしれないということに、発想を向けなければならない。ベッドの配置に限らず、食事などの際のテーブルの配置やパブリックスペースでの椅子、ソファーなど家具の配置、その他、利用者の生活行動に関わる場所や道具、家具についても同様であり、利用者が自分でも工夫し行動しやすい環境をつくることに心がけたいものである。