果物は缶詰で限られた種類しか提供されず、生鮮品として食したい。また、献立に変化がなく、味付けも単調であるが、ずっとあきらめている。
1人の嗜好状況なのか、他の利用者にも確認。複数の利用者が同じ意見であることの情報を得る。間食や昼食の現物を拝見し、掲示献立表を毎回見て、事業者に伝達し説明。
委託給食会社との給食委員会で検討される。
利用者からは、何の話題にも出ず、現状に満足しているものとの認識であったこと、速やかに課題として会議をされた。
相談員から事業者への提案内容、事業者の対応及びその後の改善状況について把握し、相談員連絡会議の資料としても周知し活用。
給食委員会で検討を重ねられ、朝食内容が大幅に充実し、盛り付けの工夫や、献立作成に努力が見られた。
利用者から、鍋料理などの楽しかった話の報告を受ける。
利用者側には、食事に関して遠慮があり、事業者に話題として伝えず、事業者は問題のない事として現状維持している状況があるかもしれず、双方の橋渡しをする事が必要であると感じた。
現在、食事は自施設調理方式、給食会社委託方式、半委託方式など入所施設でも通所施設でも効率性やコスト面からもいろいろ考えられており、委託方式を採用している施設は少なくない。委託方式の場合は、給食委員会を設置して委託会社と献立などの検討が行われることが多い。自施設調理方式であれば、食べ残しの状況やその日の体調に合わせて対応することが可能だが、委託方式ではきめ細かな対応が難しい場合もあるので、施設と委託会社の日常の調整が特に求められる。
この事例の場合、施設が利用者の意向について関心を払っていず、委託会社も特に注意を払っていなかったことが考えられるが、速やかな対応をとったことについては、今後のサービスの自己点検や改善へのきっかけとなったことで評価できる。
利用者がサービス対する要望を直接出すことはまだまだ利用者に躊躇いがあるし、個人的嗜好の問題として処理されることが多いが、この事例の利用者は、献立の具体的な例を取りあげて介護相談員に相談しており、解決に向けての着眼点が優れている。介護相談員が間に入るにしても、利用者の着眼点がよいと、介護相談員にとっても施設にとっても大きな気づきにつながることを示唆してくれた事例といえる。