もっとリハビリをしたいけれど、職員が対応してくれない。自分で外を歩いたりしたいが、「危ない」と言って、出してくれない。
職員に相談者の要望を伝える。
ケアプランに添った内容で対応している。
本人は、病院の時のような内容のリハビリを希望している。
また、家にいた時のように、外を出歩きたい気持ちも分かるので、なるべく定期的に散歩に出るように努力したい。
本人に事業者側からケア内容を細かに話してもらい、一応納得してもらった。 ただ、外出等は職員の人員配置もあり難しいようだ。
家にいた時と同じように外を出歩きたい方は多い。
一人で外出した場合、危険なことも起こりうるため、なかなか難しいと思う。
リハビリテーションを希望しているのに対応が不十分との相談は、特別養護老人ホームの場合によく聞こえてくる。特別養護老人ホームの場合は、老人保健施設や病院のようなリハビリテーションは施設の業務内容や設備、職員などからも要望に応えるのは難しいという声も施設側から聞こえてくるなど、両者にとって好ましい結論がなかなか出そうにない問題の一つといわれるが、そもそも利用者はなぜリハビリテーションを希望しているのか、あらためて考えることが必要である。
この事例の場合を考えると、「自分で外を歩いたりしたい」→「一人では危険だから職員が同行しないと外出できない」→「危険が無いように自分がしっかり歩ければよいのではないか」→「しっかり歩くためにリハビリテーションすればよい」→「リハビリテーションの希望を出す」という、利用者の思いの流れが見える。リハビリテーションを希望する元々の気持ちはどこにあるのかを知ることにより、対応を考えなければならない。リハビリテーションの施設でないからできないなど短絡的な結論だけを利用者に示すのは、利用者の意欲をそぐだけでなく、自立支援に背を向けることでもある。
ケアプラン(施設サービス計画)が利用者の生活を支え、維持向上できるようにするためのものではなく、お世話お仕着せ計画になっていると、問題の本質が見えなくなってしまうおそれがある。ケアプラン(施設サービス計画)は施設の自衛のために策定されるのではなく、利用者の生活向上のために策定されるものである。利用者の心身の状況や職員体制をもとにして、「危険だから」ということで外出制限をするのではなく、外出できるようにするにはどうすればよいかを、職員任せではなく、施設の運営方針として組織的に考えなければならない問題である。