掃除をしてもらうけどベッドの端に隙間があるから、そこにティッシュやベルが落ちたらわからん。同じ人がするわけではないから、次の人はまた言わなければならない。何度も言っている。(全盲の人)
管理者の方へ当日口頭で報告。
後日報告書提出
以前はベッド柵を毛布でガードしていたが、娘さんが持ち帰られてからはしていないこともあった。
継続していくことにします。
月1回の傾聴のたびに、ベッド柵はタオルやタオルケットでガードされ、ベルは落下しないように専用の箱に置かれている状況が継続されていた。
全盲がおありで入所の日数が浅いこともあり、当初不安や不信感もおありのようだったが、施設側も改善に努める姿勢でおられ、徐々に信頼関係が強くなっていったと感じた。
ベッド上で過ごすことが多い利用者の場合、ベッドやその周囲の手が届く範囲に日用の細々としたものを置くことが多い。身体拘束とならないようにベッド柵も最小限にとどめ、ベッドの配置も壁際に密着させないなど配慮すると、ベッド上に置いてある小物などが落ちやすくなるなど、視力障害のある方だけでなく、日々の生活に配慮や工夫が必要となることが多い。特に、ベルなどは緊急の際など必要なものなので、常に使いやすいように置き場所に工夫が必要となる。
この事例の場合、入所して日が浅いことから来る不安や不信感があったのではないかと介護相談員が判断したことは、当を得ているといえるだろう。それまで自分が慣れ親しんでいた生活から離れ、住環境が変わったり、日々の過ごし方も変わり、何から何まで戸惑うことばかりであれば、その不安や不満を何らかの形で表出することは当然であろう。そこで、本人にとってもっとも表出しやすく、また、切実な問題が「ものが落ちる」ということであっただろう。
本来であれば施設が本人の不安などを的確に受けとめて、環境上の工夫なども継続しておきたかったが、介護相談員が受けとめたことにより、施設も早い段階で対応することができたことは評価できる。今後とも施設が一人ひとりの状況を適切に把握して対応することが望まれる。