入浴時各部屋で30分前から脱衣し、ベッドで待つよう言われている。寒いと感じる時がある。浴室まで行って脱衣できないものだろうか。
本人の訴えを聞き、入浴時の状況を相談員の目で確認・観察を行った。
後日、施設として入浴時の対応についての考え方を看護部長に尋ねた。
週2回60名を切れ目のないよう入浴させるために、早めに脱衣して準備してもらっている。給湯設備や脱衣場の設備も整っていないと説明があった。待ち時間を少しずつ減らしていくよう対応したい。しばらく様子をみてほしい。と言われた。
訴えがあった本人は、着脱の自立をめざし、転所後の個浴の練習を始めた。他の利用者さんは、入浴の直前まで脱衣していない方もあり。待ち時間は短くなっているように感じた。
ストレッチャーで浴室に行き、脱衣場で衣服を脱ぐまで改善されることはなかった。施設の設備や人的・物的に難しかったのだろうと推測される。利用者本位にはなっていないと感じた。
すべての入所施設がいわゆる生活施設ではないこともあり、入浴に対する考え方や具体的方法などについて、理解されているとはいえない状況がある。入浴を「清潔の保持」という視点だけで見たりすると、設備や人的な理由だけでなく、事例のようなできごとがあっても問題とは認識されないことがある。そのような場合、介護相談員が申し出しても改善事項とは理解されないことがある。
しかし、それは仕方ないこと、やむを得ないこととして考えるのではなく、事務局への報告をとおして市区町村(保険者)へ報告することなどが必要であろう。医療系施設の場合には、短期間の入所を前提にしているという前提があったりするため、市区町村(保険者)も対応に苦慮することがあるかも知れないが、尊厳の問題ということだけでなく、ときによっては虐待として考えなければならないこともあるため、事務局への的確な情報提供も必要である。
入浴に関する問題が依然として残っていることは、たとえ入所期間が短い場合であっても、組織的に考えなければならないし、この事例以外においても、デイサービス、デイケアなどでも起こりうる問題として注意深く見ることが必要である。