入浴介助方法(プライバシー・安全面 含む)
女性の入浴介助状況の観察を行い、利用者の安全・プライバシーの確保がされていないと感じた。
自分の意思を訴えられない利用者に対して自分たち(職員)の業務優先の為、何人も裸のまま浴室内で待たせたり、ストレッチャー・車椅子に乗せたまま、側に職員が居ない状況があった。
当日の入浴介助の状況を記録ノートに書き、スタッフの対応に疑問を感じたことを伝えた。
入浴介助の状況について職員内で話し合いを行ない、注意をすると共に、今後利用者の立場にたった援助をしていきたいとの返答をいただく。
次回、入浴介助の際には、改善がみられた。
一人ずつ入室に誘導し、入浴介助する人以外にも人員を増やし、利用者の方に目配りされていた。
介護度の高い方、自分の訴えが出来ない方に対しての配慮が不足していると思った。
又、日々の援助に慣れてしまう事の怖さを感じた。事業所内でのチェック機能が十分に働いていない場合は、第3者の目で感じたことを管理者の方に伝える事が重要と思った。
入浴介助や排泄介助、食事介助は、施設の運営方針や人員配置状況、介護サービスの質などを端的に表す場面である。それらの場面のいずれか一つをとってみるならば、他の場面にも共通する問題が見えてくることが多い。
この事例の場合、介護相談員が観察して判断した業務優先の考え方と見ることもできるが、入所している利用者がどのように主体的に生活するかという生活の質を大切にするという視点ではなく、介助してあげる対象という視点で施設サービス計画などが立てられているのではないかと思える内容である。特に、介護度の高い利用者に対して行われているということは、施設サービス計画そのものが実際のケアに反映されていないことを物語っている。また、ストレッチャーや車いすに乗せたまま職員が側を離れているのは、自ら事故を招くことになるなど危機管理上とても認めがたいことは当然であり、介護相談員が報告したことで改善されたことは、日常の惰性から行われていたと思いたいが、それはとりもなおさず、前述した問題が横たわっていると考えられる。
しかし、現在に至っても依然として入浴時(準備段階も含む)の問題があることは、入所している利用者の人権や安全に対する認識が徹底されていないことを市区町村(保険者)だけでなく、行政全体も強く認識して今後の対応を進めていかなければならないだろう。
介護相談員は利用者の声を聴くことだけでなく、市民目線で観察することが必要であることを改めて感じさせる報告である。