朝、顔も洗わないで食事をするのがつらい。歩けないので、洗面所に行くことができない。顔を洗いたい。(五十音表を指しながらの会話)
朝の洗面所は混雑するから対応も困難だろう。毎朝、温かいおしぼりを用意するという対応でよいかを確認。洗面所が空いたころ、歯磨きなどできるように施設に依頼する。
指摘を受けるまで気がつかなかった。毎日おしぼりをだすようにする。
「言いたいことがあれば、いってくるはずだ」「何もいわないから、問題はないだろう」と思ってしまうことは誰にでもある。また、希望や要望がでると、「要求が多い」「わがままだ」と思ってしまいがちだ。
そのような環境で、介護が必要な利用者は、自分の希望をいいだすことはできない。まして、心身の状況により自分で希望を表現できない利用者は、どうやったら職員に「言いたいこと」を伝えればいいのだろう。
職員が利用者の「声」を聞くようにしなければならないのだ。
この事例は、相談員がゆっくりと利用者の「声」に耳を傾けたから、利用者との関係が築けたのである。利用者の希望を叶えるにはどうしたらよいか、相談員は考え、「観察」から得た相談員の助言を、利用者が受け入れた。そして2人で話し合ったことを職員へ提案したことが、職員の「気づき」を促した。
利用者の「代弁」をするということは、利用者の代わりに話すのではなく、「声」を伝えることにある。