左大腿部骨折が痛い。ポータブルトイレの使用を希望しているが、貸してもらえない。理由がわからない。
生活相談員に利用者が納得するように理由を話してほしいと伝える。
骨折は回復しており、リハビリと生活圏の拡大のため、トイレ使用を働きかけている。また利用者には認知症状がある。
そのままトイレ使用を続けて様子を観察する。
本人は現在も「ポータブルを使用したい」と希望する。利用者の精神状態、身体状態がどうなのかよくわからず、どういった対応が望ましいのか苦慮する。
ポータブルトイレは、どこの施設でも補助的に使用することが基本のようだ。生活圏の拡大やリハビリを意識している場合は、なおさらポータブルトイレの使用を控えるだろう。
骨折がきっかけで寝たきりになるのは、動くと痛いから横になっていたいというような本人の希望によることもある。そのためサービスの現場では、利用者が行動しなければならないように仕向けるケースもみられる。
しかし、ポータブルトイレを使用できない理由を利用者が理解していないければ、無理に動かされていると思って不満がつのる。また、自立の強制は介護職員の思惑と逆の結果を生んでしまうことになりかねない。
だが、介護サービス相談員が施設に利用者の思いを告げることで、「利用者が理解していない」ことが伝えられる。そこで施設では、利用者の状況を再確認して、対応策の再検討が求められる。これが、相談員活動のあり方である。