施設内に流れている音楽の音量が大きく、話も聞きとれない。
直接介護職員に「どうしてこんなに大きな音量で流すのか」と聞いた。
また、施設へは、終日この音量で聞いている人の立場になって考えたほうがよいのではないでしょうか。みなさんで話し合ってくださいと提案した。
昼間は寝てしまう人が多いし、耳の悪い人が多いのでしかたがない。
音楽は心地よい音量に下げられ、静かになった。
日常的に行われている介護サービスを振り返り、当然のように行われていることが利用者にどう受けとめられているのかを再検討することの大切さを感じた。
音量の問題を含めて、基本的にBGMなどの音楽は、個人の好みに属する問題である。そうした観点から、介護サービス相談員の「みなさんで話しあってください」という提案は、一人ひとりの好みや違いを大切にした環境づくりを促すという意味で的確な対応である。
最近、介護サービス相談員が施設にBGMを流すようにアドバイスしたり、それを快適な環境づくりの一環として取り入れる施設が多くなっている。
その結果、「雰囲気が明るくなった」などの改善報告もみられるが、果たして、すべての利用者がそれを“改善”と受けとめているかどうかは疑問の残るところだ。
BGMをすべての利用者にとって「必要なもの」「好ましいもの」と考えるのは早計である。音楽そのものが嫌いという利用者もいれば、音楽のジャンルによっては聴きたくない利用者もいるだろう。小さな音量だからかまわないという問題でもない。
介護サービス相談員は、利用者の好みの違いにも十分に配慮して対応を考えていかなければならない。