家族の意向もあり、積極的なリハビリが受けられて回復すれば自宅に帰れるという話で、この施設に入所した。入ってみたら、まわりは高齢者ばかりでなじめないし、リハビリもない。別の施設に移るか、一人暮らしになるが自宅に戻りたい。
事務局およびケアマネジャーに相談のあった利用者の意向を伝える。また、事務局の職員とともに行政の障害担当へ出向き、その利用者の意向を伝える。
ケアマネジャーが行政の障害者担当と連携をとり、利用者本人とともに障害者施設を見学に行く。その後、日常生活訓練のために障害者施設に入所した。
年齢が若いので、相談をしてきた利用者としてはまだまだ目的意識をもって生活したいという希望がある。老健に入所する前の段階でケアマネジャーがもう少し本人の意思を確認できればよかったが、その後の対応はよかったと思う。
この利用者(50歳代)のように比較的若い年代の人が施設でリハビリを受けるとなると、なかなか障害を受容することができず、心の葛藤が起こる場合が少なくない。直ることへの強い気持ちがあるため、無理をしてでも早く回復しようとリハビリにも懸命に取り組むことが多い。しかも、入所してみたら周りは高齢者ばかりという状況のなかで、ますます不安と焦りが募ってくるのだろう。
相談者の心の葛藤を適確に受けとめた介護サービス相談員の対応、そして行政の障害担当との連携をはかった施設の対応は、非常に適切である。介護サービス相談員は「年齢が若いので、利用者としてはまだまだ目的意識をもって生活したいという希望がある」と感想を述べているが、こうした本人の気持ちを介護サービス相談員がきちんと把握していたことが、施設の対応や状況の改善につながったと思われる。
このような事例では、介護サービス相談員が身障者手帳や障害者に関する施策について情報をもっていること、行政のどの担当者に伝えればよいのかを把握しておくことが話をスムーズに進めるためにも大切である。