退所させられると困るので病気を隠していた

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70歳代 女性、特養、入所8年

【相談内容】

【介護サービス相談員の観察】

転倒してけがをしたにもかかわらず、退所させられると困ると考えて、2日間、施設に隠していた。それに気づいた介護サービス相談員が転倒時の状況などを聞いたところ、脳内疾患の疑いも考えられたので入院を勧めた。

【相談員の対応】

この施設では入院しても3カ月は居室が確保されていることを伝えると、利用者も納得して入院した。入院後、利用者の転倒は脳梗塞によるものであることがわかった。退所させられるのが怖くて、病気なのに病気と言えない利用者には、まず、病気を治すことが先決とアドバイスするようにしている。

【事務局の対応】

あまりかかわりたくないように思えた。

【改善状況】

入院後に「部屋が待っていますよ」と見舞いのときに伝えた。3回目の入院のときに亡くなられたが、施設の職員も見舞いに来てくれたと喜んでいた。

【相談員の感想】

入院時の居室の確保について、施設の規則を理解していればなんでもないことだが、知らずに怯えている利用者の気持ちに胸がいたんだ。利用者の納得のいく会話のケアなど、職員の質の向上が大切であると感じた。

解説・ポイント

1.
まず注意しなければならないのは、この特養では他の病院に入院しても「3カ月間は居室が確保されている」という点だ。病院に入院すれば、短期的なものでないかぎり、いったん入所の契約を解除(退所)する場合もある。この施設のこうした対応は、かつて措置制度時代に同様の規定があったため、おそらくその名残りで現在もその規定を準用しているのではないかと思われる。

2.
「利用者は納得して入院した」とあるが、この事例では、
 ① 介護サービス相談員がどのように施設に伝えたのか
 ② 施設側は介護サービス相談員の報告について、どのようい対応したのか
がわからない。介護サービス相談員としては、この点も大切なポイントである。
また、利用者が入院中の居室を確保する場合に必要な費用についても押さえておく必要がある。

3.
この事例は、介護サービス相談員の観察から利用者の状況をすくい上げ、施設につないだ好例である。介護サービス相談員の活動がもたらす大きな成果といえるだろう。

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