認知症のある利用者(おとなしい性格)からの相談で、自立している人と認知症の人との共同スペースで自立している人からの言葉のいじめを受け、部屋から出られなくなってしまったとのこと。
相談員自身もいじめの場面を目撃したので、相談員が見たことと、相談のあった利用者の話を織り交ぜて施設長と話し合った。
施設長も承知していたようで、迅速に対応してくれた。
(?) 自立している人、認知症の人、それぞれの専用フロアを設け、共同スペースは1階だけになった。
自立している人は不満だったようだが、認知症の人はのびのびしているようにみえる。
(?)
専用フロアを設けることは、自立している利用者と認知症の利用者が相互に出入りできなくなるということである。とりあえず相談した利用者の悩みは解消したかのようにみえるが、これでは本質的な解決には結びつかない。
専用フロアを設けたことによって、「認知症の人はのびのびしているようにみえる」と相談員は感じているが、逆に、自立している利用者も認知症の利用者も生活の場が制限されていることに気づくべきである。
「施設長も承知していたようで、迅速に対応してくれた」とあるように、施設はいじめの実態を黙認し、これまで何の手も打ってこなかったことがわかる。施設が本質的な解決を望むのであれば、専用フロアを設けるのではなく、入居者全員に認知症に対する理解や協力を求めるなど、やるべき対応策はたくさんあるはずである。