補聴器の調子が悪くなって、人の話もテレビの声も聞きにくい。行きつけの店に行って 新しいものを購入したい。経済的には余裕があるのでタクシーで行ってもよいが、勝手に行くわけにはいかない。一人身なので頼める家族もない。なんとかその店に購入に行きたいので、施設に話をしてほしい。
補聴器は確かに故障している。当日の施設とのミーティングで相談者の意向を伝える。
1回目:「わかりました」
2回目:翌週の訪問時に確認すると、なんの対処もされていないため、再度ミーティングにかけ、「なんとかします」との返答を得る。相談のあった利用者は私の訪問を待っていた様子で、「この施設は人の痛みがわからない人間ばかりだ」と言う。
3回目: 再々度のミーティングで「どうして対処できないのか」と強調。「職員の配置替えをしたところだったので……」と言い訳された。1カ月後、やっと対応してくれた。(?)
最初の申し出から1カ月、感情に流されず、介護の質の向上のために橋渡し役を務めたが、施設によっては気の許せないこともあると、肝に銘じて努力することにした。
これだけの記述ではわからない部分もあるが、この補聴器が自費で購入されたものなのか、身障者(聴覚障害者)への補装具として給付されたものなのかが、ひとつのポイントになる。それによって、施設の対応のしかたも異なってくるからである。
身障者用の補装具として給付されたものであれば、制度に定められた故障時の手続きに従って、しかるべき業者に修理を依頼すればそれで済む。
一方、自費購入の場合は、職員が忙しくて補聴器店に同行できないのであれば、介護サービス相談員は「業者に来てくれるよう頼んでもらえないか」と施設側に提案するなどの対応も必要になってくるだろう。
(?)
この介護サービス相談員は確かに粘り強く対応しているが、単に「連れて行ってくれ」「どうして対応でいないのか」と施設に詰め寄ったり、そもそも施設がやるべきだと決めつけて責任を追及するのではなく、上記の提案なども含めた柔軟な対応ができれば、より望ましい。