施設にお金を預けているのに眼鏡も変えない

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70歳代女性、要介護2、特養(入所1年6ヵ月)

【相談内容】

施設に預かってもらっているお金があるはずなのに、日常、使うお金が少ない。老眼鏡を作りたいと思っているが、施設の職員に話してもなかなか買ってくれない。

【相談員の対応】

要望を施設に伝えた。

【施設の対応】

眼鏡は早速手配する。生活保護を受けている人なので、その兼ね合いもあるが、日常的に使えるお金がないわけでもないので、対処したい。

【事務局の対応】

継続的に施設の対応を見守るように指示。

【改善状況】

翌月、眼鏡は手配していると報告があった。その後、相談者が眼鏡をかけているところを見た。

【相談員の感想】

この相談者の場合は、眼鏡だけが問題なのではなく、不本意なかたちで、いままで住んでいたところから、この施設に移されたことに不満をもっていたように思う。

解説・ポイント

この事例のように、生活保護受給者が施設に入所している場合は、「介護扶助」と「生活扶助」が給付される。「介護扶助」とは施設の介護報酬に相当するもので、施設に直接振り込まれる。一方、生活費に相当する「生活扶助」は利用者の口座に振り込まれ、自分で自由に使えるお金である。これ以外に利用者が医療を受けたときは「医療扶助」(医療費の全額支給)が給付される。
眼鏡の購入については、個人的に生活費で購入する場合と、医療扶助を受けて購入する場合がある(眼科医の処方箋が必要)。したがって施設としては、まず保護の担当課に連絡し、眼鏡の購入希望についてどのように対応すべきかを相談しなければならない。安易に生活費のなかから眼鏡を購入すると、本人の不利益になる場合もあるので注意が必要である。

事務局の対応として「継続的に施設の対応を見守るように指示」しているが、これは誤りであって、眼鏡の購入については、本来、生活保護の担当課がきちんと対応しなければならない問題である。
この事例でいちばん問題なのは、介護保険制度という枠組みのなかで、施設、事務局、生活保護の担当課が連携をとりながら解決にあたらなければならないところを、それぞれがバラバラに対応し、かつ必要な役割すら果たしていないことである。

介護サービス相談員が「眼鏡だけが問題なのではなく、不本意なかたちで、いままで住んでいたところからこの施設に移されたことに不満をもっていたように思う」と感想で述べているように、利用者の要望の背景にある思いをきちんと把握している点が評価できる。

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