家族が持ってきてくれた食料品を介護士に取り上げられた。たくさん食べるわけではないのだから食べさせてくれればいいのに。外出もできず、それだけを楽しみにしていたのに・・・。
泣きながらの訴えで「気持ちはよくわかるが、健康のことを気遣ってのことではないか」と問うと、「そうではない。半身不随だがどこも悪くない」とのこと。施設に伝えてほしいというので、そのまま伝える
面会に来る人がいろいろ持ってくるが、糖尿病の人もいるので困っている。高齢でもあるし、全然食べさせないでストレスがたまるのもよくないと思っているが、むずかしいところだ。
「全部取り上げあるのはひどい」と毎月施設に送る相談員活動の便りのなかで指摘した。(?)
翌月の訪問時、相談者に聞くと「週1回、家から持ってきたものを食べさせてくれるし、月1回は自分の好きなものを買ってきてもらって食べられるようになった」と喜んでいた。
施設への食料品の持ち込みや、それを食べる場所などについては、施設管理上の問題だけでなく、他の利用者への配慮という面から考えても一定の制限があるのはしかたがない。施設にとっては責任がともなう問題であり、だからこそ、利用者のニーズに応えたいと考えている施設ほど対応に苦慮しているともいえる。
こうした問題については、まず、本人、家族、施設が「どのような食品なら持ちこんでもよいのか、あるいはどのようなものはダメなのか」という点について共通認識をもつことが必要になってくる。そのうえで、本人、家族の理解を得て、施設側が一定のルールを設けることが大切である。
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事務局の対応で、「毎月施設に送る相談員活動の便りのなかで指摘する」のはよいとして、「全部取り上げるのはひどい」というのはいくぶん筋違いではないかと思われる。
介護相談員も事務局も、まず、食料品の持ち込みを制限する施設側の理由や根拠を明らかにすることが必要であり、そのうえで、施設と本人・家族が「どのような方法(ルール)が適切か」をいっしょに考えられるようなアドバイスこそ相談員の仕事である。