部屋に鍵をかけて閉じこもる

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60歳代男性、要介護4、特養

【相談内容】

話し相手がいない。リハビリができない。言語障害があるため、言葉をだすまでに時間がかかってしまう。尿の排泄がままならず、自尊心が傷つき、頑固になってしまう。

【相談員の対応】

当初、ゆっくり話を聞き、リハビリについては、この施設が生活の場であることを話す。入所して2カ月ごろから部屋に閉じこもり、ときには中から鍵をかけるようになった。ケアマネジャーに事情を確認し、精神科のソーシャルワーカーに本人、家族の心理療法について話を聞く。(?)

【施設の対応】

おしめ交換や入浴などを頑なに拒否していたが、根気よく接することで少しずつ改善されつつあった。ところが妻が面会に来て厳しい調子で叱ったらしく、また心を閉ざしてしまった。本人の心理的問題と妻との関係など、施設でのケアの範囲を超えている。

【改善状況】

その後の状況は一進一退。

【事務局の対応】

家族へ働きかけについては、相談員の活動範囲外と言われる。

【相談員の感想】

相談員と根気よく話をしていくためにも、家族との人間関係の調整が先だと思うが、相談員の活動範囲外と言われると空しくなる。

解説・ポイント

(?)
相談員の対応として「ケアマネジャーに事情を確認し、精神科のソーシャルワーカーに本人・家族の心理療法について聞く」とあるが、精神科のソーシャルワーカーに話を聞くのはよいとしても、聞いてから自分でなんらかの行動を起こすことは、相談員としてやりすぎである。
利用者への対応のしかたや心がまえを学ぶことは、相談員として大切なことである。しかし、相談員はあくあまでも自分の橋渡し役としての業務を果たすことに専念し、その後の具体的な対応については、施設の相談員、ケアマネジャー、ソーシャルワーカーに託すという方向で連携するのが本来の相談員活動のあり方である。

施設の対応として「本人の心理的問題と妻との関係など、施設でのケアの範囲を超えている」とあるが、本人の心理的問題と妻との関係も含めて対応するのが施設の仕事である。
「妻が面会にきて、厳しい調子で叱ったらしく…」ということ自体、利用者の状況を家族に伝えておらず、対応について配慮を求めていないことの表れであり、適切な施設ケアが行われていないことは明らかである。

「家族への働きかけについては、相談員の活動範囲外」とする事務局の対応は、相談員の走りすぎる行動に対しての助言と思われる。施設に対して家族への指導を含めたケアを行うべきであると伝えることは、相談員の役割である事を確認しておきたい。

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