この施設を利用している人は、家に居場所のない人ばかり。かつては社会の中堅、一家の柱として働いてきて、高齢と病気でやっかい者になってしまった哀しみと苦しみをわかってほしい。
その哀しみはよくわかるが、生活のなかで自分を生かすものを探してみてはと助言した。
みなさん、それぞれ過去の自分にプライドをもっているので、その対応はむずかしい。職員としては親切に対応し、施設での生活に慣れてもらうしかない。
利用者は、デイサービスの生活にも徐々に慣れ、くつろげるようになってきた。
職員のむやみに明るく元気いっぱいな声かけは、利用者にとって心のケアにはなっていない。本当の心を理解した接し方とは、どんなかかわり方だろうかと考えてしまう。
介護相談員の感想に「職員のむやみに明るく元気いっぱいな声かけは、利用者にとって心のケアになっていない」とあるが、この指摘は実に的を射ている。
職員のテンションの高さに辟易する利用者は、たしかに多い。ただし、一方で、そうした声かけに喜ぶ利用者がいるのも事実である。
職員は、こうした一人ひとりの利用者の特性をつかみ、できるだけその人に合った対応を心がけることが大切だ。
ちなみに、これは職員の日常的な対応の問題だけでなく、ケアプランを検討する際にも必要な心がけである。ケアマネジャーは、利用者の特性や心の状態を把握したうえで、その人に合ったケアプランになっているかどうかをチェックすることを忘れないでほしい。介護相談員には、こういった理解も必要である。