(介護相談員による観察)
いつも車いすに座っているので両足が冷たく、紫色に腫れあがって痛がっている。
毎日、朝から夕方まで車いす生活なら、誰でも足はむくむ。医師に相談したら「切るしかない」と言われて腹が立った。
そこで、家族を通して両足を投げ出すタイプの車いすにしてもらい、両足の下にマットを敷いた (?)ところ、1週間で足のむくみがきれいに消えた。
この相談者だけでなく、ほかにも同じような利用者がいることを施設に伝えたところ、他の人にも同様の処置をしてくれた。
利用者は、現在も長時間車いすの生活だが、両足の保護マットがあり、腫れは出ていない。
医師の「切るしかない」という言葉には驚いたが、現場の職員は、案外この程度の思いで介護しているのだということがわかった。重い認知症の人は、ほとんど人権など考慮されていない。介護職員のレベルアップが必要だと思う。
(?) 介護相談員は、誠心誠意、一生けん命に対応していることは評価できる。しかし、介護相談員の対応としては、まず「気づいたことを施設に伝える」という基本的な手順が省略されている。さらに、医師には相談したものの、直接、家族を通して車いすを変更したり、保護マットを使用するという対症療法に走っている点が問題である。
介護相談員の役割の第一は、利用者の要望や介護相談員自身の気づきを施設につないでいくことである。その後の対応については、あくまで施設がなすべきことであり、そのなかで改善に向けて施設がどう対応していくかが重要なのである。したがって介護相談員は、たとえ自分で行動したほうが早いと思うことであっても、直接手を出すことはひかえ、施設の対応をサポートしたり見守る立場に立たなければならない。
施設は、介護相談員の指摘を受けて保護マットの使用等を行ったが、これはあくまで対症療法にすぎない。できればもう一歩踏み込んで、日中活動のあり方や脚部のケア・リハビリなども含めて施設の対応を点検し、利用者の状態改善に向けた取り組みを行っていくかどうかを見ていく必要があるだろう。