おやつのときにおしぼりを出してほしい

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【相談内容】

【介護相談員による観察】

おやつのとき、おしぼりなど、手指の消毒について対応がない。トイレ後、手づかみで食べる人もみられる。

【相談員の対応】

衛生面・感染症防止の観点から、「おしぼりの提供、またはそれに代わる対応を」と再三、口頭で伝えるとともに、報告書を提出した。(1)

【施設の対応】

おしぼりは、昼食・夕食以外は提供していない。個人に自分用のタオル等を持たせている。

【改善状況】

トイレと洗面所の前に、使い捨てタオルと消毒薬を設置。最近は、おやつのときにも、おしぼりが出されるようになった。

【相談員の感想】

介護相談員の指摘が、現場の職員に伝わっていなかったようだ。いまでは、おやつにも受け皿とおしぼりがつき、ティータイムの雰囲気が明るくなった。(2)

解説・ポイント

(1)
この事例には「事務局の対応」が出てこないが、介護相談員からの報告は受けているのだろうか? 基本的なことではあるが、介護相談員が気づいたことは、施設に要望や報告書を提出するだけでなく、事務局にも報告する必要があることを、まずここで確認しておきたい。
次に、介護相談員の観察の視点について考えてみよう。おやつのときに限らず、施設内の衛生面の配慮は大切だが、衛生管理を徹底するのであれば、単におしぼりを使用したからといって解決する問題ではない。介護相談員としては、おしぼりの問題にとらわれず、そこから派生する施設内の日常的な衛生管理のあり方に目を向ける必要があるだろう。
たとえば、これまでおやつのときに衛生面でなんの対応もしていなかったことから、では、日常的に手を清潔にする指導は行われているのかなど、施設の生活全般の衛生管理を見直すきっかけとなるような観察の視点をもつことが重要である。
また、おやつを含めた食事の際のチェックポイントとして、利用者の洋服や車いす周辺の食べこぼしの問題がある。介護相談員は、これらを確認したうえで、一連の衛生管理上の問題点として、施設に伝えていく必要がある。
こうした問題点に対する予測も、観察(気づき)のテクニックのひとつである。ひとつの観察から次の問題点への予測へと観察の視点を広げていくことが、介護相談員の活動に広がりをもたらす方策である。

(2)
おしぼりによって雰囲気がよくなったというよりも、おしぼりの問題をきっかけとして、施設が他の生活面でも改善を意識するようになったり、対応やサービスにも配慮するようになったことのあらわれではないかと考えられる。
その結果、おやつにおしぼりだけでなく、受け皿がつくようになったのだろう。「受け皿」は施設にとっては手間になるが、利用者にとっては「ゆとり」として受けとめられる。ティータイムの雰囲気が明るくなるのも当然だろう。

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