妻と連絡が取れない。探してほしい

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70歳代男性、脳梗塞により下半身不随、特養(入所6カ月)

【相談内容】

妻と連絡がとれなくなった。こういう施設で働いているはずだから、施設に探してくれるよう言ってほしい。前から頼んでいるのに、ちっとも探してくれない。

【相談員の対応】

その日のうちに、施設にこれまでのいきさつを聞く。

【施設の対応】

実は、家族から本人と連絡を断ちたいと言われている。本人は、家族を顧みず、乱暴、浮気をくりかえし、生活費も入れず好き放題にしてきたようだ。息子さんから「殺したいほど憎らしい」とまで言われているので、所在を明かすわけにはいかない。だから、いつも「いま探している」と伝えている。

【事務局の対応】

真実を伝えるわけにはいかないので、むずかしい問題だ。相談者が納得するような理由を伝える必要がある。

【改善状況】

次回の訪問時、相談者に「探してくれるよう頼んでおきました。もう少し待ってください」と伝える。ところが、その次に訪問したら本人から手招きされ、「会いたくないらしい。悪いことばっかりしてきたからな」と少し寂しそうに言われた。施設側は、詳しい事情は言わなくても、ある程度はっきり伝えたほうがいいと判断したとのこと。相談者は、しばらく元気がなかったが、あとはふっきれた様子だった。

解説・ポイント

利用者の要望に応えることはむずかしく、状況を打開できる見込みも少ないなかで、せいいっぱい的確な対応をしたといえるだろう。
妻と会えない理由をあいまいにすることなく、本当のことを伝え、そこから再出発をサポートしたことは十分評価してよい。
なお、相談員としては、施設から、利用者が家族に見放された事情を聞かされても、あくまで利用者に対する偏見をもたず、本人の話を冷静に受けとめていくことが大切である。

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