ポータブルトイレがいつも汚れている。トイレが車いす対応ではないため、終日ベッドサイドにポータブルトイレを置いて使用しているが、洗浄は1日1回(午前9時頃)のみ。気持ちが悪いし、悪臭がするので、なんとかならないか。
訪問してすぐ各居室の臭いが気になった。多床室のせいかと思っていたが、ポータブルトイレが原因と気づき、利用者に聞いてみると「そのとおりだが、世話になっている身としてはなにも言えない」とのこと。
その旨、看護師長に申し入れをする。
看護師長から「人件費の関係で簡単には改められないが、なにか方法を考える。排泄のたびにコールボタンを押してくれれば対応する」との返答あり。
ただ、利用者としては、コールボタンは気の毒で押せないとのこと。
約3か月後、洗浄が1日2回に、さらに1日3回にと、利用者が申し出なくても改善された(訪問のたびに、看護師長に確認)。
「トイレが車いす対応ではないため」とあるが、療養型施設であることから、それに加えて、おそらく居室からトイレまで遠い構造になっているためポータブルトイレを設置しているものと思われる。また、特養と比べてベッドまわりの専有面積が狭いため、悪臭もいっそう耐えがたいものがあるだろう。
相談員の指摘を受けた施設が対応を考えはじめ、実際に改善が進んできたことについては成果がみられる。
ポータブルトイレには利点がある一方で、欠点もあることを見落としてはならない。ポータブルトイレで排泄させるよりも、離床させてトイレに連れて行ったほうが、本人にとっては望ましい場合もある。その点を考慮しながら、利用者にとって望ましいケアのあり方を考えていく必要があるだろう。