亡くなった長男の妻に遺産をあげたい

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90歳代女性/要介護2/車いす使用/特養(入所3年2カ月)

【相談内容】

嫁いでいる長女が、無断で家の鍵を開け、宝石などを持ち帰ったり、いろいろ調べている。実の娘だけに腹立たしい。同居していた長男は死亡したが、長男の妻がよくしてくれるので、彼女に財産を与えたい。長男の妻には遺産相続の権利がないことは知っているので、どうしたらよいか。実印は銀行に預けている。

【相談員の対応】

銀行に実印を預けているだけでは法的に安心とはいえないので、判断能力が十分あるいまのうちに、成年後見制度を利用するのもよいでしょうとアドバイスする。

【施設の対応】

施設側は、「3カ月間、同じ悩み・不安を言い続けているので対応してみる」とのこと。

【改善状況】

相談者より「弁護士を頼み、安心しました」と言われる。

【相談員の感想】

相談員の活動範囲として「家族関係の相談にはのらない。聞くだけにする」という原則(?)があるが、利用者の不安解消のためにも公平なアドバイスが必要であり、それを参考にして利用者がどうするかを考えればよいと思う。権利保護にもなり、利用者の気持ちが落ち着くと考え、あえて相談に応じた。

解説・ポイント

相談員の感想として、「『家族関係の相談にはのらない。聞くだけにする』という原則」とあるが、これは明らかに勘違いである。

介護相談員は、「家族関係のトラブルに介入しない」ということであり、「家族の相談にのらない」ということではない。むしろ、家族からの相談も受けることは、相談員活動の一環である。

ましてこの事例は、家族関係の問題ではなく、本人の財産をどうするかという問題である。相談員は、相談の本質がどこにあるかを見誤ってはいけない。この点は重要なこととして、再認識する必要がある。

ただし、利用者が疑問に思っていることや悩んでいることについて必要な情報を提供することは、相談員の役割の一つであり、相談員の対応にはまったく問題がないといえる。

●成年後見制度とは?
認知症、知的障害、精神障害などによって判断能力が低下すると、財産管理や金銭管理、法的な手続きなどを自分で行うことがむずかしい場合がある。また、自分に不利益な契約であっても、よくわからないまま契約を結んでしまい、悪徳商法の被害にあうおそれがある。
「成年後見制度」とは、このように判断能力が十分でない人々の財産や権利を保護し、不利益を受けないようにするために、家庭裁判所に申し立てをして、成年後見人(法律上の手続きや財産管理などを支援してくれる人)をつけてもらう制度である。
詳しくは、地元の地域包括支援センターに問い合わせるとよい。

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