・本人は寝ておられたが右頭側面に打撲のあとがあった。
・ベッドの降り口が反対(壁側)になるようにセットされ、明らかに行動制限の拘束状態にあった。
・状況を把握し、介護相談ミーティング時、拘束虐待であると申し入れる。
・当日は施設の相談員との面談を行った。
・すぐに拘束状態を改善すると約束あり。
・次の訪問で、副施設長から拘束であったので、改善しましたとの報告あり。
介護相談員活動記録の記載報告で了承、了解された。
・その後は状態は改善された。
・スタッフの管理徹底を行う。
今回は本人の認知障害の関係で、就寝時、トイレ等への行動制限、また放置されていた可能性あり。
見廻り、点検頻度を増やすように要望した。
介護相談員の観察により、具体的な対応がとられた事例である。ベッドでの行動制限により、排泄など身の回りのことにまで影響している可能性を考えた対応は、利用者の置かれている状況を的確に把握しているだろう。
施設の相談員と面談をしたとのことであるが、苦情受付担当者、苦情解決責任者、苦情対応責任者など、施設設置の制度上、あるいは施設によって呼び方は異なるが、施設内の介護サービスに関する苦情について適切に解決するように求められています。この事例の場合、家族などからの介護に関する相談は対応していても、利用者本人からの要望はなかなか気がつかない、あるいは、利用者が申出できる状態ではなかったかも知れません。
介護相談員の観察の結果、施設の相談担当者に確認をとったことで、施設自身による点検を促すことができたと思われる。ベッドの一方を壁際につけて簡単に降りられないようにすることは利用者がベッド外の行動を制限することになることは誰もが知っており、それが利用者の安全確保であると考える施設もまだまだ少なからずあるかも知れないが、利用者の日々の活動と介護に対する職員の知識や技術の向上によって対応しなければならないことを理解できるように促すことが大切である。また、ベッド柵や壁際へのベッドの設置は、利用者がベッドから身を乗り出したり、ベッド外に降りようとして、却って危険を増大させることになることにもなることを認識して、利用者の状況を観察したり、話を聞いたりすることの大切さを心に留めて欲しい。