デイサービスのプログラムがつまらない
【相談内容】
多くの利用者から
1.日中はほとんどやることなく退屈、座り放しで苦痛。
2.ゲーム・レクレーション・ボランティア等楽しめる企画をしてくれない。
3.リハビリにつながる器具が少ない。
【相談員の対応】
施設長、副施設長共介護の仕事に関わった経験がなく、どう改善したら良いか分からない様子であった。他施設での良い取り組み状況を観てもらい、その中から出来る内容を早期に取り入れてほしいと考え、他施設見学を提案。
【施設の対応】
施設長から見学させてもらえる施設があればぜひしたいと言うことであった。
2施設に見学受け入れを文書にて(相談員が)要請し、見学を実施。
【改善状況】
他施設の脳トレ内容、リハビリ体操の仕方、レクレーションゲームの内容、ボランティアの紹介で催し物を定期的に実施する等良い所を取り入れた。
リハビリ器具の種類も増やした。
【相談員の感想】
以前よりは改善されたが、まだレベル的には改善の余地有り。
新しい担当者に引き継ぎ、フォローをお願いした。
職員の入れ代わりが多く、定着性が低いので継続性が気がかり。
解説・ポイント
デイサービスに限らず、日中活動がつまらないという話しは少なからず耳にするが、この事例が示していることは、催し物の企画実施のことだけではない、深くて大きい問題が横たわっている。
第1に、施設長、副施設長共に介護の経験がなく、どのように改善すればよいかわからないということであるが、施設長等が経験ない場合でも経験のある職員がいれば、ある程度は情報などを持っているはずであり、日中活動の方法も多少は知っているはずである。職員の定着が低いということなので、サービス提供事業所の経営及び運営をはじめとして大きな問題があるのではないかと推定される。
第2に、介護相談員に助言されるまでもなく、経験がなければ施設長自らが他の施設に助言を受けることや行政に相談することが基本であるし、サービス提供事業者の団体の研修会なども含め、関係書籍も豊富にある。
介護相談員がよい取り組みをしている他の施設を紹介することは利用者へのサービス向上、地域のサービス体制向上に役立つが、見学依頼まで介護相談員任せということは、そもそもサービスを改善しようとする意思があるのか、それ以上に、何のためサービス提供事業所を運営しているのか、甚だ疑問である。
レクリエーションなどの活動レベルの問題ではなく、介護サービスそのものに対する根本的な姿勢に大きな疑念を持たざるを得ない。
第3に、このデイサービス利用をケアプランに入れている介護支援専門員のあり方について、大きな問題がある。本来、ケアプランは一人ひとりの状況に応じて策定されるものである。アセスメントによりどのようなサービスが必要なのかを明らかにし、必要なサービス内容を調整していくことが責務である。
この事例では、この相談者の担当介護支援専門員だけでなく、多くの介護支援専門員が「サービス提供ありき」になっていて、適正にケアマネジメントがすすめられていないのではないかとの疑念を持たざるを得ない。また、利用者の状況に対応したサービス提供事業者の紹介や調整も行われていないのではないと思える。
この事例は、サービス内容に対する利用者の不満・要望という表面的な問題ではないことに目を向ける必要があるだろう。
なお、この事例では事務局の対応が見えないが、これは介護サービス事業者のあり方という制度の根幹に関わる問題であり、サービス提供事業者を所管する行政が実態を把握し、必要に応じて助言指導することがよいと考えられる内容を含んでいるので、事務局がきちんと方針をもって介護相談員と協議することが必要である。