家のことが心配で施設を抜け出す
【相談内容】
少しの間という約束で入所した。家のことが心配なので、一度帰りたい。
頼んでも誰も連れて行ってくれない。
【相談員の対応】
相談者は家のことが心配で施設を抜け出し、通りがかりの車に乗せてもらって家に帰ったことがある。そのとき車に乗せてくれた人の通報により施設に戻った。また、現在、家には誰もおらず、夫は特養に入所している。
本人が、家に帰りたい旨を施設に話してほしいというので、施設に話をして、できるなら一度、希望をかなえてあげてほしいと伝える。
【改善状況】
1~2カ月に1回程度、施設の車で夫のところに面会に連れて行ってくれるようになった。その後は、行動も落ち着いて仲間にとけこみ、夜もよく眠れるようになった。
【相談員の感想】
認知症のある人でも、心の負担を取り除くことにより表情が変わってくる。最初の頃とは別人のように、私たち相談員を明るく迎えてくれるようになった。
解説・ポイント
グループホームでは、入所者が認知症ということもあり、思いもよらないことが起こる場合がある。ところが職員は、そのときどんな対応をすべきかという具体的な方法や、利用者がどんなときどんな行動をとるかについては、案外しらないことが多い。
相談員は、この利用者の状況をよく把握しており、本人の気持ちをくんでホームに要望を伝えたため、ホーム側も利用者とどう向きあえばよいかに気付いたのだろう。
このように利用者と施設とのコミュニケーションを橋渡しする作業がスムーズに行われることが、相談員活動の目指すところである。
なお、自宅とグループホームを行ったり来たりできるような活用の仕方ができるグループホームの方針であれば、利用者が自宅に帰りたければ、帰れるようにサポートすることは充分あり得る。