危険だから4本柵は仕方がない
【相談内容】
(相談員の観察による)訪問時、自室で4本柵のベッドに仰臥していた女性を見た。(ベッドも介助者が仕事しやすい高さにしていた。)
【相談員の対応】
「危険ですからどうしようもない」という事業者の意識による対応のため職員に状況を聞き、事務局へ報告した。
【事務局の対応】
施設に指導に入る。
【改善状況】
4本が2本になり、ベッドの高さも低く設定されて安全の確保がされていた。
【相談員の感想】
身体拘束や高齢者虐待は施設の介護意識の高さによる。第3者の目(相談員)がある事で、マンネリ化された意識を再確認出来る。
解説・ポイント
介護相談員の観察により問題を発見し、介護相談員が職員からも聞き取りをして報告した事例である。
この事例で事業者とは施設全体を指しているのか、その中の管理者を指しているのかが判断できないが、利用者が施設でどのように生活していくかという視点ではなく、利用者を隔離保護、管理という視点で業務を行っていることが問題になる。もちろん、身体拘束ということが問題であることは言うまでもないが、表面に表れている身体拘束ということから、施設のあり方を問う必要がある。職員が不適切な対応を改めたいと思っても、改善できない状況であれば管理者などへの指導が必要になるし、管理者が不適切な対応を改めたいと思っても職員が対応しなければ組織の管理運営上の問題である。
入所施設での身体拘束は、利用者にとって適切な介護サービスを検討することをせず、安易に労力を軽減しようとするときにも行われたりする。、ベッド柵やベッドの高さが改善されたことはよいことだが、重要なことは、表面的なところに表れてきたことが解決されればよいということではなく、施設の運営方針、介護方針が利用者の生活を支えるというところをしっかりと認識して、毎日の業務がすすめられるようにならなければいけない。
この事例では、事務局が指導に入ったが、今後も、介護相談員が継続的にさまざまな場面に目を向けて観察をしたり、利用者や職員から話を聞いたりするなどの活動が必要である。