ベッドを窓際に移してほしい
【相談内容】
1.入所時には多床室の部屋でベッドが窓際だったので、また、ベッドを窓際に移してほしい。
2.食事の時以外にも起こし、体位を動かしてほしい。
3.右手薬指の内側にじょくそうができているので治療してほしい。
【相談員の対応】
1・2については、ご家族の切なる願いと受け取り、施設に伝える。
3については、ご家族(次女)が面会時に気がつかれた。手当をお願いする。
【事業者の対応】
利用者さんの現在の状態
移動:全介助(車イスを多少自走できる)
食事:自立
排泄:全介助(オムツ)
入浴:全介助
視力:日常生活に支障なし
聴力:高度難聴
1.については、ベッドだけの生活者の方に外の気配を少しでも感じさせてあげたいので、車イス移動ができ、食事も自立しておられるので、移動できない。
2.については、体に添わす枕で体位を移動させています。
3.については、すぐに手当てします。
【改善状況】
1.窓際希望について、家族に説明。
2.食事以外にも起こして欲しいとの要望から、ホーム内の行事や他施設との交流へ参加するなど、連れ出してもらえて、ご家族はうれしい、とのこと。
3.手当しましたとのこと。
【相談員の感想】
スタッフより、「言葉が少ない方だったが、最近よく話しをし、意思表示されるようになられた。
また、顔にあるイボを触ると、声を出して笑う事もたびたびあるようになった。」とのこと。
少しでも元気を出してもらおうと、楽しく接していることが伝わってきた。
ご家族の忌憚のない意見が叶うことも叶わないこともあるが、ホームの対応によってご本人にとって良い結果となったと思います。
解説・ポイント
家族は「うちのおばあちゃん」という意識でものごとを見て考えるが、施設の他の入所者のことまで考えることは少ないだろう。したがって、少しでも「うちのおばあちゃん」に良いようにして欲しいという要望の場合にも、聞きようによっては、家族のわがままと思えることもあるだろう。車いす移動が可能ということなので、寝かせきりにしているとは思えないが、家族から見ると「もっと」という要望が出ることは、施設が利用者の状況を適宜家族に伝えているのかという疑問が残る。
入居したばかりの時と一定期間経過したときもまったく同じということは、適切に介護サービスを提供しているのかということになるだろう。入居したときにはリロケーション・ダメージといわれるような新しい環境への適応で苦労することがあること、それに対して施設としてはどのように対応し、安定してきたら次にどのような対応をしていくということを利用者本人と家族にも、きちんと伝えていくことが必要である。
介護相談員が家族の要望を伝えたことで施設の対応が変わったという理解もよいが、施設がどのようなプロセスを想定して対応しているのかを職員だけが知っているような状態から、家族にも理解していただくような説明などが適切に行われているかどうかという点にも留意しておきたい。