何故ベランダの窓に施錠してあるの
【相談内容】
リビングからベランダ(1F)に出る窓にいつも鍵がかかっている。鍵は窓の上方にあり、職員が解錠しない限り窓が開かない。
【相談員の対応】
職員の数も十分(目が行き届くには)いるし、1階の低いデッキで危険も無いように思われるので、どうして施錠する必要があるのか聞いてみた。
【施設の対応】
万が一に備えての事だったと思うが、深い考えもなく勝手に出ないように閉めていた。今後は職員がいる昼間は開けるようにする、との対応。
【改善状況】
施錠されることはなくなった。特に問題も起きていない。
【相談員の感想】
面倒なことになる前に用心しておく、というような体質が見え隠れしているなぁ、という印象です。
解説・ポイント
施錠による行動制限は身体拘束のひとつであるが、そのことを認識せずに、介護する側の論理だけで行っている施設はまだまだ少なくない現状がある。以前は、職員が鍵束を出して解錠、施錠している姿を見かけることもあったが、新しく建設されている施設でも鍵が上方にあって職員が手を伸ばして解錠、施錠したり、電子ロックで暗証番号を打ち込まなければ解錠できない施設、エレベーターの扉が開かない階などを特徴にしている施設もあり、介護のあり方にとって大きな問題である。
この事例の場合は、施設が「深い考えもなく」施錠していたということであるが、建物自体が行動制限を前提にしていることから考えてみると、意識改革のための取り組みを注目していく必要があり、市町村への報告と点検が必要である。グループホームの場合は、職員数が少なかったりして職員が知らないうちに利用者が外出して行方不明となってしまうと、利用者の安全管理を名目にして行動制限をするなどの対策をとってしまうと、グループホームの趣旨から外れてしまうことを理解したい。地域の人々の理解を深めるための施設の日頃の活動や、市町村の啓発活動、地域包括支援センターなどの地域生活支援の取り組みが強く求められる。
このグループホームでは、その後施錠されていないし、特に問題も起きていないということであるが、地域の理解を深める活動へとつながっていくことを期待する。