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介護サービス相談・地域づくり連絡会

漬物が食べたい

漬物が食べたい
グループホーム 85歳 女性 認知症あり 要介護度3

【相談内容】

このグループホームは、人数分半調理された食材を毎日購入しており、味付けもよいし、量も十分足りているが、私の生家は農家だし、昔人間の私等には、漬物や菜葉の煮付けなどがあればうれしいなぁ。

【相談員の対応】

施設の裏に広い空き地があり、そこに野菜や花を植えて利用者の要望に応えられたらどうでしょう、と施設長に提案した。
介護相談員としては逸脱した行為となるため直接手伝うことはできないが、アドバイスはすることをお約束する。

【施設の対応】

施設長から、「それをやりたいと思っていたので、早速始めたい。」とのことで、職員と利用者とその家族などを集め、土づくりからはじめた。
都度種の蒔き時などを教えてあげていたら、今では立派な畑になって野菜がいっぱい育っている。

【改善状況】

久しぶりに相談員として訪問した時、私を覚えてくれていて、口々に「今日は自分らが作った白菜の漬物が美味しかった。」とか、「ほうれん草のお浸しが美味しかった。」とか報告に来てくださった。

【相談員の感想】

利用者が一番楽しみにしているのは食事であると思う、そこに自分で作った好物の一品を加えれば、より楽しく食事ができるはずである。
そこへ仕事もできる楽しみも加わり、活き活きとして暮らしているように感じた。

解説・ポイント

「漬け物を食べたい」という要望の背景は何だっただろうか。介護相談員の対応により、このグループホームが一歩を踏み出したことは大きな意味があり、今後さらにひとり一人の利用者の充実した施設生活を支援していくだろうことが想像できる。
毎日決まったパターンの繰り返しになっていたり、張り合いのない生活の繰り返しとなっている施設生活をおくっている利用者は少なくない。利用者自身が「できない」と思ってあきらめたり、施設が安全管理や人手不足、利用者の心身状況などを理由にして利用者への働きかけが十分でないなど、理由は様々であるが、施設生活において利用者にとって充実した日々にするには、施設の取り組みは不可欠である。グループホームの場合は入居している利用者も多くない「第二の我が家」という特徴を活かした日中活動などが、利用者の毎日の生活を充実したものにすることができると考える。
この事例で、相談のあった利用者が自分の生家は農家であったことをわざわざ言っており、「何かをしたい」というメッセージが込められていた。グループホームとしても「何かをしたい」という思いがあり、介護相談員の提案が両者を結びつけることになったことに加え、家族も巻き込んでいくきっかけとなったことは、このグループホームにとってもよい成果となった。
身近なできごとから、ちょっとした工夫や配慮などで生活が心豊かになることは多い。介護相談員が一人のメッセージであっても施設が取りあげやすいようにしていくことが大切である。