甘いものが食べたい
【相談内容】
おやつの時間に甘いものを食べたい。他の人は売店で好きなものを買って食べているのに、自分だけ食べられない。
【相談員の対応】
施設に要望を伝える。
【施設の対応】
以前、血糖値が高かったため、それ以来、甘いものをひかえている。そんなに食べたいとは知らなかった。今後は検討する。
【改善状況】
「和菓子やりんごのコンポートを食べた」「甘酒は他の人の半分の量だが、飲むことができた」とうれしさで泣きながら話していた。
解説・ポイント
このような事例は以前からよくみられるが、まず本人が、自分の健康状態と、それを悪化させないためにはどのような食生活の改善が必要かを理解できていないという問題がある。
食生活をはじめとする生活習慣の改善(規制)は、本人がその必要性を十分に納得していないと、なかなかうまくいかない。この利用者も、施設がいくら「血糖値が高いから甘いものをひかえましょう」と言っても、そもそも納得していないから、ただ不満だけが残ることになる。
一方、施設側も、甘いものを制限する必要性について「本人も十分わかっているはず」という思い込みがあり、それが、「そんなに食べたいとは知らなかった」という言葉にあらわれている。
施設として大事なことは、まず、医師、栄養士、調理師を含めて話し合い、利用者の健康状態をふまえて、できることは工夫しながら利用者のニーズに応えていくことであろう。
施設での生活で食べることに関心が向くのは自然であり、むしろ食べることにしか楽しみを見いだせない状況になっているともいえる。そうした状況のなかで、ある程度の制限はあるものの、好きな甘いものを食べられるようになったことは、生活への意欲につながっていく可能性がある。