すべてが気に入らない
【相談内容】
家に帰りたい。以前のように家政婦を雇って生活できるようにリハビリをがんばっている。ごはんがまずい。魚が食べたい。肉がかたい。風呂にもっと入りたい。からだがかゆい。
【相談員の対応】
傾聴する。
【施設の対応】
利用者は入所したばかりである。時間かまわずブザーを押し、不満をいっていたが、最近少し落ち着いてきた。しばらく様子をみたい。利用者の話を、よく聞いてあげてほしい。
解説・ポイント
「自分はなぜこの施設に入所しなければならなかったのか」という思いをもつ利用者は少なくない。生活の変化を受け入れることができない、現在の自分のおかれている立場を納得できない、というようなことが原因で引き起こす言動や行動は、改めさせなければならないことではない。
入所してまもないと、家に帰りたい気持ちが強く表面に現れるが、時間の経過とともに気持ちを表面に出すことが少なくなっていく。
だが、それは施設生活に慣れたからなのだろうか。
自分の将来をあきらめたとき、人は何もいわなくなるといわれている。
サービス事業者は、そんな利用者の気持ちを理解していても手をこまねいていることがある。
そこで、相談員の傾聴がポイントとなる。傾聴により、利用者はあきらめの気持ちから少しずつ抜け出し、今後どのように生活していくかを考えられるようになる。
相談員は、利用者が「相談員がいつも傍らにいてくれる」という安心感をもつことができるように、関わっていくことが大切だ。その安心感により、利用者は、これからの生活に希望がもてるようになるだろう。