同室者を殴り倒してやりたい
【相談内容】
同室の利用者が大声を出したり、徘徊したりして眠れないため、イライラしている。ときにはその人を殴り倒してやりたいと思う。
【相談員の対応】
職員に状況を伝え、暴力沙汰になる前に部屋替えの検討を依頼。さらに、見守りを実施してもらえるよう頼んだ。
【施設の対応】
すぐに部屋替えはできないが検討する。注意深く見守りたい。
その後
見守りをしていたが、実際に暴力沙汰となった。夜勤者が少なく、暴力行為を防ぐことはできなかった。その後、利用者は個室へ移動した。利用者のケアのために、好きな将棋のボランティアを受け入れ、心の安定を図っている。
解説・ポイント
利用者同士の関係は複雑な問題に発展することがある。施設という閉鎖された空間で、個室であれば自分の自由になる時間があるが、同室者がいると、自分を抑えて共存を図らなくてはいけないなど、大きな制約がある。
サービス提供者は、利用者がどのような心身の状況にあるのかを把握し、適切な対応をとらなければならない。大声を出す、徘徊をする利用者の心身の状況はもちろんのこと、同室の利用者や接する利用者が、どのような心身の状況にあるのかも把握しなければ、施設での人間関係が及ぼす影響を予測することはできない。実際に大きな問題が起きないと動かないことになりがちだが、事故が起きてしまったら、あとでどのように対応しても、利用者の精神的な痛みは消えない。
夜間の職員が少ないなど表面的な問題にすり替えるのではなく、事業者はどのように利用者の状況をみるのかを明確にするように、相談員が援助することが大切だ。