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介護サービス相談・地域づくり連絡会

視力が衰えてすることがない。何の希望もない。

視力が衰えてすることがない。何の希望もない。
70歳代女性、左半身麻痺 療養型施設(入所2年)

【相談内容】

左半身が麻痺し、視力も衰えて周囲のものがぼんやりとしか判別できない。何もすることがないし、何の希望もない。  (1)

【相談員の対応】

市の図書館に視覚障害者用の本や雑誌の音読テープがあることを話す。 (2)

【施設の対応】

図書館から視覚障害者用の本や雑誌の音読テープを借りることを善処したい。

【改善状況】

音読テープを借りて聴くようになってから「何の希望もない」と言わなくなった。定期的にさまざまなテープを借りてもらっているようだ。 (3)

解説・ポイント

(1)
この利用者は療養型施設に2年間も入所しており、入所期間が長すぎる。視力が衰えてすることがないだけでなく、ベッド上ですごす毎日が続き、日中活動も個別的なサービスも行われていないのが実態ではないかと思われる。
生活施設でない所に長く入所していると、日々の目標が何もなくなってしまい、生きる意欲さえ失ってしまうこともある。

(2)
本や雑誌の音読テープがあることを伝えた相談員の対応は、制約の多いなかでの活動としては最善策と思われる。
ただし、施設としては音読テープを借りる以外にその後何の対応もしていないように見受けられる。施設がこれ以上、利用者の生活意欲を喚起するような対応ができないのであれば、また療養病床(医療的処置)の必要がなければ、老健や特養などの生活を基盤とする施設ケアができるところへ移るなどの方策を考えたほうがよい。
介護相談員としては、本人とケアマネジャーが話し合える機会をつくったり、転所に関する情報提供などを行うことも必要になってくるだろう。

(3)
利用者は「音読テープを借りて聴くようになってから『何の希望もない』と言わなくなった」とあるが、これを単純に改善ととらえてよいものかどうか。ますますあきらめの境地に入ってしまい、苦情を言う元気もなくなったということでなければよいのだが。
介護相談員には引き続き本人の様子を観察したり、じっくりと話を聞いたりしていくことが求められる。
介護相談員の活動というものは、この場合でいえば、利用者が生き生きとした生活が送れるまで継続していることを忘れてはいけない。