家が心配なので帰って様子をみたい
70歳代女性、要介護3、特養
【相談内容】
台風や地震があると、誰も住んでいないわが家が心配になる。家に帰って様子をみたいが、家族が取り合ってくれない。家に帰る方法がないものだろうか。
【相談員の対応】
施設の生活相談員に報告し、家族との調整をお願いした。
【施設の対応】
家族と話し合い、「家に帰ると、施設に戻りたくないと言い出すのではないか」という家族の不安を理解し、帰宅の実現をサポートした。
【改善状況】
帰宅してからは精神的に安定し、「家に帰りたい」とは言わなくなった。また、施設内でもクラブ活動の立ち上げを要望するなど、積極的に活動するようになった。
【相談員の感想】
相談者の気持ちを家族や施設職員が受けとめ、その要望を実現しサポートしていく過程で、精神的な安定や落ち着きを取り戻し、意欲的になっていく姿に感動した。
解説・ポイント
「家の様子をみたい」という思いの奥には、おそらく、家族や地域とつながっていたい、忘れられた存在になりたくないという思いが隠れていると推測できる。
相談員が本人の要望を施設に伝えたことにより、家族もあらためてそうした思いに気づき、帰宅を受け入れた結果、利用者は「家族から見捨てられていない」という安心感をもつことができたのだろう。
この事例では、本人が安心感を得たということがもっとも重要であり、それが精神的な安定や落ち着き、意欲などの好結果につながったと思われる。