メニュー

閉じる

  1. TOP
  2. 情報発信
  3. 今月の相談
  4. 自分で食べられるのに

介護サービス相談・地域づくり連絡会

自分で食べられるのに

自分で食べられるのに
80歳代女性

【相談内容】

【家族より】

自宅で生活をしていたときは、食事も自分で食べていた。施設に入ってから、職員が食べさせているので、1年半で認知症が進んだようだ。自分で食事をするようにしてほしい。

【相談員の対応】

家族が施設に相談したとのことなので、家族にはできるだけ施設に来て、利用者に接する機会を多くするようにアドバイスした。

【施設の対応】

人手不足の関係で、本人に食事をとらせる時間的な余裕がない。

【相談員の感想】

職員の人出不足で、利用者への対応が機械的にならざるを得ないのかと残念に思う。

解説・ポイント

この施設では、利用者のことより、効率よく仕事をこなしたいという職員の都合を優先させ、流れ作業のように機械的に食事介助を行っているのだろう。
人出が足りない施設では食事介助などせず、利用者はほったらかしにされていると思いがちだが、現実はむしろ逆。職員が強制的に食べさせているのである。そのほうが手間がかからず、短時間で終わる。自分で食べてもらうと、食べ終わるまで見守っていなければならないから、かえって大変である。
そういう対応には利用者への自立支援や介護予防といった視点はまったくない。

相談員が、利用者の認知症をさらに悪化させないよう、家族に対してできるだけ面会に来て、利用者に接する機会を増やすようにとアドバイスしていることは重要である。相談員にさらに踏み込んだ対応を望むなら、「人出不足の関係で、本人に食事をとらせる余裕がない」という施設に対して、少ない人員でも自分で食事をとらせることに成功している先進事例などを紹介するとよいだろう。事例の紹介は、相談員が直接施設に話してもよいが、事務局を通したり、施設・事務局・相談員の連絡会議などで発表してもよい。
事例としては、食事のテーブルをL字型やコの字型にし、その中に職員が入って食事の見守りを行っている施設がある。こうすると、一人で4~5人の利用者を同時に見ることができるし、手をのばせば利用者に届くので、介助が必要なときはすぐに対応できる。