体位変換のとき「重い」「腰が痛い」とイヤミを言われる
【相談内容】
職員がベッド移乗や体位変換のときに、 「重い!腰が痛い」などとイヤミをいうため傷つく。でもこんな苦情を言うと、自分が言ったことがわかり、職員との関係が悪くなる。
【相談員の対応】
女性として気になることを他人に言われるのは「つらい」ことに共感する。職員の問題のある言動については、施設側も対処してくれるので報告しておくと伝えると、相談者は「自分とわかるから絶対名前は言わないで」 と言った。
【施設の対応】
施設に、相談者の名前を特定できないようにして話をする。「職員の言動については、改めて注意する」との回答があった。
【改善状況】
相談者と担当職員の関係がうまくいかなかったこともあり、担当職員が変わってからは相談がなくなった。
【相談員の感想】
体重についての言動は、女性ということもあり、ほんの少しのことでも気になるのは当たり前だと思うが、対象が特定しやすい場合は、対応がむずかしく、報告や相談が大変である。
解説・ポイント
介護職員としての基本がまったく認識されていない。職員の質以前の問題である。虐待の問題としてとらえる必要もある。
職員の対応は、施設管理者からの対応によって、いちおう改善されたようだが、今後も相談員および事務局は状況の推移をチェックしつづける必要がある。場合によっては、事務局を通して行政が介入しなければならない状況が出てくる可能性もあるだろう。
虐待の被害者は、「相談したことがわかると、しっぺ返しを受けるかも知れない」という不安におそわれる。以前にも増していやがらせを受ける可能性もある。だからこそ利用者は「自分とわかるから絶対名前は言わないで」と頼んだのである。頼まれた以上、相談員は細心の注意をはらって利用者を守らなければならない。