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介護サービス相談・地域づくり連絡会

認知症の人と相部屋はイヤ

認知症の人と相部屋はイヤ
80歳代男性/要介護3/特養(入所3年9カ月)

【相談内容】

同室の認知症の人が荷物を動かしたり、読書を邪魔したりするので、できれば個室に変えてほしい。

【相談員の対応】

要望を施設に伝えた。

【施設の対応】

読書が好きな人なので、静かに読書ができる環境にできるよう考慮する。

【改善状況】

一カ月後、個室に移った。

【相談員の感想】

相談者は勝手なお願いで申し訳ないと恐縮していたが、認知症の人との相部屋は大変だったと思う。希望どおりに対応してくれたことに感謝していた。

解説・ポイント

相談者の要望のポイントは、認知症の利用者との相部屋がイヤというよりも、一人で静かに読書できる環境がほしい、ということにある。相談員の対応は、この要望を取り違え、相談者に認知症の利用者に対する差別意識を植えつけることにつながっている。

相談員の感想に「認知症の人との相部屋は大変だったと思う」とあるが、こうした対応の背後には、相談員自身の認知症に対する理解不足があるものと思われる。

★認知症の人と一緒に生活する利用者への対応
現実には介護施設の職員ですら、認知症を十分に理解したうえで対応しているとはいえない。まして一般の利用者は、対応のしかたがわからないのは当然である。

だからといって相談員が、利用者に「あの人は認知症だからがまんしなさい」などとアドバイスすることは慎まなければならない。具体的な対応のしかたをアドバイスをするのは職員の仕事である。相談員がやるべきことではない。

ただし、それは職員が認知症および認知症ケアの正しい認識をもち、それを実践できることが前提となる。職員が間違った認識をもっていたら、たとえ利用者が認知症の人に配慮した対応をしても、対応がチグハグになり、かえって逆効果になりかねない。

相談員としては、職員が利用者に対して認知症の人への接し方をアドバイスするきっかけをつくったり、職員と利用者がともに認知症への理解を共有できるような環境づくりに向けて、日常的な働きかけを行っていくことが望ましい。