人の役に立ちたい
【相談内容】
排泄物の始末までしてもらい、自分はもはやなんの役にも立たない。なんとか人の役に立ち、生きる張り合いを持ちたい。
【相談員の対応】
相談者はカメラが趣味で、かなりの腕前なので、その能力を施設内で活用してもらえないか聞いてみると伝える。
【施設の対応】
施設の対応のさまざまな行事を撮影してもらい、その写真を施設内に展示し、施設内の新聞にも掲載してもらう。
【改善状況】
少しずつ相談者の負担にならない程度から、撮影などを始めてもらっている。
【相談員の感想】
認知症のある人も、ない人も、心の張りをもちたいと願っている。いずれの施設も身体的な介助はかなり改善しているが、心理面のサポートの必要性を感じる。
解説・ポイント
利用者の「なんとか人の役に立ち、生きる張り合いをもちたい」という思いは、人間の基本的欲求である。どのような状況であっても、社会の一員でいたい、社会の役に立ちたい、社会のなかで認められる存在になりたいと思うのは、人として当然である。
相談員は、利用者のカメラの腕前に着目し、その能力を発揮できる場の設定に向けて自分の役割を的確に行っており、施設も施設サービスの基本をよく理解して対応している。
相談員がかかわることによって → 施設も的確に対応することができ → 利用者の要望が現実のものになったという一連の流れが非常にスムーズに行われていることが特徴である。相談から改善までの流れは、このように行われなければならないし、これが当然であるともいえる。